笠で顔を隠され、「柳の枝さえ見たくない」
3月 2, 2010 - 10:38 am
蓮如上人が、東国(関東)からの帰路、相模(神奈川県)の鎌倉を
通られた時のエピソードを、親鸞会で聞くことができました。
お弟子が、
「この方角に、善鸞の寺の跡があります」
と申し上げたところ、
蓮如上人は、
「親鸞聖人に背いた者の寺など見たくもない」
とおっしゃって、十キロ近くも手前から笠を傾け、見ないようにされたと
いいます。
『実悟記』には、次のように書かれています。
「鎌倉近き所に善鸞の御坊跡あり、柳茂りてたしかならず。
かかる処を御通ありしに、善鸞は聖人御不孝ありしなればとて、
御坊跡の柳の梢をも御覧あるまじとて、二、三里の間、御笠を
かたぶけられ、ついに御覧ぜられざりし」
善鸞は、親鸞聖人のご長男ですが、
「父から真夜中、秘密の法文を伝授された」
と言いふらし、神に仕え祈祷し、吉凶を占い、仏法を蹂躙する仏敵が
わが子と知られた聖人には、断じて見過ごすことはできませんでした。
再三にわたる諌めをも聞き入れない善鸞を、親鸞聖人は、断固、
義絶されました。
親子でも、仏法を破壊する者への厳しさは、身震いするばかりです。
蓮如上人もまた、真実に潔癖な方でありました。
善鸞が住んでいた寺とはいえ、二百年も前のことです。
しかも、遠目には、柳の木に隠れて寺の屋根さえハッキリ見えない
状態でした。
しかし、蓮如上人は「その柳の枝さえ見たくない」と、笠で顔を
隠されたのです。
邪を憎まれる激しさが、伝わってくるではありませんんか。