「お前の命、もらったぞ」と鬼がどなった

8月 5, 2010 - 5:17 pm コメントは受け付けていません。

 親鸞会で、先月の「嫁脅しの面」の続きを聞きました。

 吉崎御坊(福井県)の近くに住む清は、夫と二人の子どもを、突然、
亡くし、痛ましい無常に、蓮如上人から真剣に仏法を聞かずにおれなく
なっていました。

 一方、清の姑は大の仏法嫌い、わが子や孫が先立っても、
驚くどころか、毎晩のように聞法のため吉崎へ急ぐ嫁が苦々しく
思えてなりません。

 何か邪魔だてできないかと一計を案じた末、法話の日に合わせ、
「一升の米を、今夜中に粉にしてくれ」
と嫁に臼ひきの仕事を与えます。

 が、清は、早速、黙々と粉を引き、たちまち仕事を終えて、吉崎へ。
仏法聞きたい一心からのことでした。

「一升では少なかったわい」

 姑は、次の日、倍の量を与えます。
 ところが、清はあきらめません。何の力か、仕事がはかどって、
喜んで蓮如上人のもとへと向かいました。
「臼ひきぐらいでは足りぬな。何かいい方法はないか」
 策を練った姑は、「鬼に化けて、吉崎へ向かう道中で脅してやろう。
恐ろしくて、二度と夜道を出歩かなくなるだろう」と思い立ちました。

 翌日、家に代々伝わる鬼の面をつけた姑が、白装束に身を固め、
人気のない寂しい谷に身を隠し、待ち構えます。
 そこへ、いつもどおり、一日の仕事を終えた清が、法話に遅れては
ならぬと、念仏を称えながら足早に通り過ぎようとやってきました。

 すかさず、鋭い鎌を手に、白髪を振り乱した鬼が、暗闇から、
バッと躍り出ます。
「どこへ行く。お前の命、もらったぞ」
 恐ろしい形相をした鬼がしゃがれた声でどなります。(続く)

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